数字が合わない時に知っておくと便利な豆知識
(月刊「企業実務」2012年5月号より)
慎重に何度もチェックをしたのに、数字が合わない、原因もよくわからない・・・そんな時に正しい数字を導き出すテクニックを、間違いの多いパターンを踏まえてご紹介いたします。
1.ピンポイントで合わない数字を探す
単純に違う科目で入力をしてしまった場合は、その合わない金額で探すことができます。 例)消耗品が500円多い⇔交通費が500円少ない
2.合わない金額を「2」で割ってみる
比較的多いのは、貸借を間違えているケースです。貸方と借り方を間違えていると、差異は2倍になってしまいます。したがって、間違えて入力した金額は、差異を2で割った数字となります。
3.合わない金額を「9」または「0.9」で割ってみる
次に多いのは、桁を間違えて入力してしまっているケースです。
例えば「4,000円」のところを「400円」で入力している場合、差異は3,600円です。3,600を9で割ると「400」になります。反対に、「400円」のところを「4,000円」で入力している場合も差異は3,600円です。3,600を0.9で割ると「4,000」になります。
そこで、4,000円を400円で入力していないか、逆に400円を4,000円で入力していないかをチェックしてみるのです。
4.合わない金額が「9」で割り切れるものの、桁間違いではない場合
数字の位を入れ替えて入力している可能性があります。
たとえば、「872」を「827」として入力している場合、差異は45です。差額の45を9で割ると5で割り切れます。
このように、位が入れ替わっている場合の差額は、常に9で割り切れるのです。具体的には、差額を9で割った数字が
a.9以下の場合 1と10の位の誤り
b.10以上99以下の場合 10と100の位の誤り
c.100以上999以下の場合 100と1000の位の誤り
というようになります。
5.数字の見間違い
合わない数字が「3,000」とか「30」など3絡みの場合には、「6」と「9」を間違えていることがあります。電卓やパソコンのキーボード上でも上下に並んでいるので、このような入力ミスは多くなりがちです。「6」や「9」が入っている数字に注意しながら、もう一度確認してみましょう。
6.元の書類が間違っている
元も子もない、と言ってしまえばそれまでですが、他の部署、例えば営業担当者等が精算書などを書き間違えている場合もあります。精算時にはもう一度チェックしましょう。
7.ダブルチェック
「思い込み」や「勘違い」で自分だけでは原因を究明できないこともあります。そんな時は他の人にチェックしてもらうと、意外と簡単に原因がわかることがあります。
いかがでしたか? 現金や預金など、その実態があるものについては、「残高」という形で把握できるので、間違いがあっても比較的早い段階で気づくことができます。
しかし、決算が終わった後、時間がたってから気づくのは売掛金や買掛金、未払金の計上間違いです。金額が小さければまだしも、例えば桁違いの間違いになると、会社の経営成績や財政状態の数字が大きく狂い、経営判断に影響を及ぼしかねません。また、税務申告に関しても、修正申告や更正の請求を行うような事態に陥ることがあります。
数字の扱いには常に細心の注意を払い、間違いがあった場合はその原因を究明し、同じミスを繰り返さないようにしましょう。