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    居住用財産の特別控除―共有家屋の一部を取り壊してその敷地を譲渡した場合―
    (東京高裁平成22年7月15日判決、判時2088号63頁、TAINSコードZ888-1538)

     高裁における当事者の主張

    措置法35条の解釈について

    原告の主張 被告の主張

    ア特例の趣旨−自己の所有する住居を失った個人の保護

    措置法35条1項は、原判決も正しく説示しているとおり、個人が自ら居住の用に供している家屋又はその敷地等を譲渡するような場合は、これに代わる居住用財産を取得するのが通常であるなど、一般の資産の譲渡に比して特殊な事情があり、担税力も高くない例が多いことなどを考慮して設けられた特例である。要するに、措置法35条1項は、自己の所有する住居(居住用の土地・建物)を譲渡して自己の所有する住居を失った個人は、「住居の再取得の必要性」が生じるなど「担税力が高くない」ことを考慮して、その個人を保護する政策目的で設けられた規定である。したがって、措置法35条1項の解釈は、このような趣旨に従い解釈されなければならない。

    イ居住用土地のみを譲渡

    措置法35条1項は、個人が、その居住の用に供している家屋をその敷地の用に供されている土地を更地として譲渡する目的で取り壊した上、当該土地のみの譲渡をした場合にも適用がある。これは、措置法35条1項の立法趣旨から、@個人が、自己の所有する住居(土地・建物)を売却するため、建物を取壊し更地となった土地を売却するという一連の行為を行った場合にも、個人は一連の行為の結果、自己の所有する住居を失い「住居の再取得の必要性」が生じその個人の「担税力が高くない」ため、その個人を保護する必要性があるからであり、A自己の所有する住居(土地・建物)を売却する方法として「建物を取り壊して更地として売却」した場合にも税制上の保護を与えないと、実質上、自己の所有する住居の処分に制限が加わることになり相当ではないからである。つまり、条文を形式的に読めば建物を取壊して更地となった土地を売却することは、「家屋をその敷地の用に供されている土地とともに譲渡をした」には該当しないのではないかとの疑問が生じるが、住居の売却方法として建物を取壊して更地となった土地を売却するという一連の行為による譲渡方法を認めないと、自己の所有する住居の売却によって自己の所有する住居を失い新たな住居を取得する必要性が生じた個人を保護することができないから、立法趣旨から、この場合にも要件を満たすと解されているのである。したがって、自己の所有する住居の売却のための一連の行為の結果、自己の所有する住居を失い、新たな住居の取得の必要性が生じる場合には、措置法35条1項の適用があるのであって、措置法35条1項の適用の有無の判断基準は、「一連の行為の結果、自己の所有する住居を失い、新たな住居の取得の必要性が生じたかどうか」である。

    ウ 単独所有の家屋の一部取壊しの議論

     単独所有の居住用の家屋の一部を取壊し、更地となった敷地を売却する場合については、全部取壊しの場合とは異なり、個人は、自己の所有する居住用家屋の権利全てを失うのではなく、その一部を保持しているから、措置法35条1項の適用はできないのではないかとの論点が生じてくる。しかし、この点についても、自己の所有する住居を失い住居の再取得の必要性が生じる個人の保護という立法趣旨から、残存家屋が物理的にみて居住可能でない場合には、たとえ所有権を有する残存家屋が存続しても、措置法35条1項の適用は認められている。このように、物理的に居住可能かという論点が生じるのは、自己の所有する建物が存続する場合だけであって、自己の所有する建物が存在しない場合には当然措置法35条1項の適用はあるから、物理的な居住可能性の要件の論点は生じてこない。

    エ 共有物である住居の売却

     共有物である住居(土地建物)の持分を全部譲渡する場合、他の共有者もその処分に同意する場合には、他の共有者と共に土地建物を売却し、あるいは、建物全部を取壊して更地となった土地を売却することができる。また、他の共有者が同意すれば、個人の有する住居の持分全部を他の共有者に売却することもできる。これらの場合について、措置法35条1項の適用があることについて争いはない。

     しかし、他の共有者が上記の同意をしない場合には、建物の一部を取壊して、残存家屋とその敷地の単独所有権を他の共有者に取得させ、自らは更地となった土地の所有権を取得するという方法で共有物の分割を行い、その更地となった土地を売却する以外には共有物である住居の譲渡方法はない。この場合も、@個人は一連の行為の結果、自己が持分を有する住居を失い「住居の再取得の必要性」が生じその個人の「担税力は高くない」ため、その個人を保護する必要性があるし、また、A自己が持分を有する住居(土地・建物)を売却する方法としてかかる一連の行為により更地となった土地を売却した場合にも税制上の保護を与えないと、実質上、共有物である住居の処分に制限が加わり、共有者の保護を単独所有者に比べ不当に低くすることになって相当ではない。したがって、措置法35条1項は、その立法趣旨から、上記の一連の行為により更地となった土地を売却した場合にも、当然に適用があるといえる。上記の一連の行為により共有物である住居の持分の全部を譲渡する場合は、単独所有の建物を一部取壊した場合と、建物を一部取壊しているという表面上の共通性はあるが、前者の場合には、個人は住居の権利全部を譲渡しているのに対し、後者の場合には住居の一部譲渡であるという大きな相違がある。後者の場合には、一部譲渡であるがゆえに、権利を有する残存家屋が居住可能かという物理的形状の論点が生じることになるが、前者の場合には、そもそも全部譲渡しているがゆえに物理的形状の論点は生じない。

    措置法35条1項は、本件特別控除の特例の対象として、「個人が、その居住の用に供している家屋で政令で定めるものの譲渡若しくは当該家屋とともにするその敷地の用に供されている土地若しくは当該土地の上に存する権利の譲渡」を規定し、土地等のみの譲渡については「災害により滅失した当該家屋の敷地の用に供されていた土地若しくは当該土地の上に存する権利の譲渡」に限って対象とすると規定しており、居住用家屋の譲渡を伴わない土地のみの譲渡については、当該居住用家屋が災害によって滅失した場合を除いて本件特別控除の適用を受けることを想定していないものである。

    もっとも、家屋の存する土地の取引において、当該家屋を必要としない買主が、当該家屋を売主の負担において取り壊すことを求めることがしばしば見られるとの不動産取引の実態に照らし、その土地を更地として譲渡する目的で居住用家屋を取り壊した上、当該土地のみを譲渡した場合については、居住用家屋をその敷地の用に供されている土地とともに譲渡した場合に準ずるものとして、措置法通達により、一定の条件のもと、本件特別控除の適用対象として取り扱われている。

    さらに、当該家屋の一部のみの譲渡であっても、その一部譲渡の後に残った部分が機能的にみて独立した居住用家屋と認められない場合には、譲渡人は、その譲渡によって居住用家屋を失うこととなるから、その譲渡は当該家屋の全部の譲渡とみるのがその実態に合致する。そこで、通達上では、その居住の用に供している家屋又は当該家屋でその居住の用に供されなくなったものを区分して所有権の目的としその一部のみを譲渡した場合又は2棟以上の建物から成る一構えのその居住の用に供している家屋のうち一部のみを譲渡したような場合には、当該譲渡した部分以外の部分が機能的にみて独立した居住用家屋と認められない場合に限り、当該譲渡は、居住用家屋の全部の譲渡と同視できるとして、措置法35条1項が規定する譲渡に該当するものとして取り扱うことにしたものである。

    このように、措置法35条1項は、例外的に認められる優遇措置であることからすれば、租税負担公平の原則から不公平の拡大を防止するため、解釈の狭義性、厳格性が要請されるというべきであり、当該規定を受けた措置法通達35-2及び同35-5で準用する同31の3-10は厳格に適用されるべきであり、疑義を差しはさむことのないような形式的基準をもって運用されるべきものである。

    事実誤認について

    原告の主張 被告の主張

    原判決は、「本件家屋部分が取り壊された時点で己が当然に本件残存家屋部分につき単独で所有権を有することとなるとする合意等がされたことを認めるに足りる証拠はない。」との事実認定を行った。しかし、本件建物の一部を取壊し、残存家屋の単独所有権を己が取得することについて、事前の合意があったことは、多数の証拠が存在するうえ、その事実の存在を否定する証拠は存在しない。しかも、被控訴人もこの事実につき「不知」と述べるのみで積極的には争っていない。以上のとおり、共有物である建物を取壊して残存家屋の単独所有権を訴外己に取得させその登記を行うことについて、当事者間に同意があったことは証拠上明らかであり、原判決には事実誤認がある。

    控訴人は、本件家屋部分が取り壊された時点で己が当然に本件残存家屋部分について単独で所有権を有することにする旨の事前の合意(以下「本件合意」という。)があったと主張するが、上記事前の合意があったことの証拠として提出された控訴人の弟である戊の日記には、具体的に控訴人と己が合意したことを示すような記載は認められず、そのほか、控訴人と己とが事前に上記合意に至ったことを示す客観的な証拠は認められないから、原判決の認定が事実誤認であるとする控訴人の主張は失当といわざるを得ない。

    仮に、本件合意があった場合、本件家屋部分の取壊し時点において、己は、当然に残存家屋部分につき単独で所有権を有することになるため、本件家屋部分の取壊しをもって控訴人の居住用家屋の全部を取り壊したとみることができるようにも思われる。しかしながら、措置法35条1項は、例外的に認められる優遇措置であることからすれば、租税負担公平の原則から不公平の拡大を防止するため、解釈の狭義性、厳格性が要請されるというべきであり、実質に踏み込まないとその有無を判断できない本件合意を、その解釈に持ち込むべきではないというべきである。

    また、本件合意があったとしても、本件建物は、本件家屋部分と本件残存家屋部分とに区分して所有できる構造にはなかったのであるから、本件合意の内容は、本件家屋部分の取壊しと同時に本件残存家屋部分に係る控訴人の共有持分4分の1を、己へ移転することを内容とするものと解さざるを得ない。そうすると、取り壊された本件家屋部分は、控訴人と己が共有する家屋の一部分であると解さざるを得ず、また、本件残存家屋部分に係る控訴人の共有持分は、取壊しではなく、己への共有持分の移転により失われたものと解さざるを得ない。

     東京高裁平成22年7月15日判決

    <認定事実>

    被控訴人は、本件建物取毀しに関する合意の成立を争っているが、上記認定の控訴人と己の本件建物一部取り毀しに至るまでの本件建物での居住の実情とその経緯、本件遺産分割の内容、さらに、実際に本件建物が己の居住部分を除いて取り壊され、控訴人が本件建物から転居するに至った経緯に照らすと、本件合意がなされたとみるのが当事者の合理的意思解釈として素直な見方というべきであり、これに沿う証拠も存在するものである。もっとも、その後本件建物の控訴人の共有持分4分の1について、己に対し、平成16年7月7日付けで、同月3日贈与を原因とする所有権移転登記が経由されていることは、本件合意の存在と矛盾するとの見方もあり得ると思われる。しかしながら、当事者間の合意としては、一棟の建物の一部についてその所有権を移転することは可能というべきであり、実際に移転部分についてこれを建物として取得し、登記上も反映させるためには区分建物としての実態を整えるための作業が必要となるところ、最終的には取り毀しが予定されていたためにそのような措置を採らず、本件建物取毀しに関する合意を踏まえて本件のような便宜の登記が経由されたとみるのが相当である(本件合意の趣旨からすると、当事者の合理的意思解釈としては、本件建物の一部取り毀しに際しては、その部分に対する己の共有持分の放棄がなされることとの見合いで、残存家屋部分に対する控訴人の共有持分の放棄がされることが合意されていたとみるべきであり、贈与ではなく放棄としたほうが権利の実体に沿うものである。)。そして、他に本件合意の成立についての上記認定を覆すに足る証拠はない。

    <争点1>

    (1)措置法35条1項に定める本件特別控除は、個人が自ら居住の用に供している家屋又はその敷地等を譲渡するような場合は、これに代わる居住用財産を取得するのが通常であるなど、一般の資産の譲渡に比して特殊な事情があり、担税力も高くない例が多いことなどを考慮して設けられた特例であると解される。そして、措置法35条1項は、土地又はその土地上に存する権利の譲渡に関しては、災害により当該土地の上に存する家屋が滅失した場合を除いては、個人の居住の用に供し、又は供されていた家屋が現存し、かつ、その家屋とともにその敷地の用に供されている土地等の譲渡がされる場合を本件特別控除の対象としており、家屋を任意に取り壊すなどした上でその敷地の用に供されていた土地のみの譲渡をする場合については、直接の定めが置かれていない。

    ところで、その上に家屋の存する土地の取引において、当該家屋を必要としない買主が、当該家屋を売主の負担において取り壊すことを求めることがしばしば見られるのは公知の事情であり、上記に述べた措置法35条1項の趣旨からすれば、個人が、その居住の用に供している家屋をその敷地の用に供されている土地を更地として譲渡する目的で取り壊した上、当該土地のみの譲渡をした場合は、上記の家屋をその敷地の用に供されている土地とともに譲渡をした場合に準ずるものとして、措置法35条1項の要件に該当すると解することができる(措置法通達35-2参照)。

    問題となるのは、本件のように、土地建物について共有持分を有する個人が、その居住の用に供している家屋部分の敷地に相当する部分を分割取得し、これに代わる居住資産を取得するために、当該居住の用に供している家屋部分を取り壊し、そのうえで分割取得した土地を更地で譲渡した場合である。このような場合についても、個人が自ら居住の用に供している家屋又はその敷地等を、これに代わる居住用財産を取得するために譲渡するという点では同じであり、一般の資産の譲渡に比して特殊な事情があり、担税力も高くないということができるものである。

    確かに、措置法35条1項の文理のほか、建物の所有権の権利の対象としての特性に照らし、同項にいう家屋の譲渡が当該家屋の全体の譲渡を予定しているとはいえるが、一方で、建物については、一棟の建物であっても、所有者がこれを区分したときは、その区分した建物の所有権の譲渡は許されるというべきであり、また、共有建物にあっては、共有建物を分割し区分所有建物として譲渡する場合や、共有持分自体を消滅させるような場合を想定すると、一棟の建物のうちの一部の譲渡であっても、これがその敷地部分の譲渡との関係で単独所有建物の譲渡ないしは取り毀しと同視できる場合があるというべきであって、そのような場合には、措置法35条1項の要件に該当すると解すべきである。

    そうであるとすれば、土地上に一棟の建物が存する場合において、土地建物それぞれについて共有持分を有し、同建物に居住する者同士が、お互いの共有持分に相当する土地部分の分割に加え、建物についてもお互いの取得する土地上の建物部分についてこれを建物として区分することに合意し、そのうえで一方が自らが分割取得した共有土地部分上に存する建物部分を取り壊したうえで、その敷地に相当する共有土地部分を譲渡し、他の共有者が同じく分割取得した土地上の残存家屋について単独で所有権を取得し、その結果、分割取得した共有土地部分を譲渡した共有者が建物の共有持分を喪失したと認められる場合においては、これを全体としてみる限りは、共有者の一人が自らの土地上に存する自らが所有し居住する建物を取り壊したうえで、その敷地部分を譲渡した場合と同視することができるというべきである。

    もっとも、建物所有権の取得という点について、これを厳格にみた場合、取り毀しの対象となる建物部分についても区分建物としての要件が備わっていることが必要となるが、物理的な意味では、建物の分割は可能であるというべきであって、上記のような一連の手続をとり、共有当事者間の合意を経て最終的には建物部分の取り毀しに至ることからすると、あえて、そこまでの要件を求めるのは相当とはいえないから(本件特別控除を受けるためだけに、いったん区分建物としての形状を整えるための工事をし、そのうえで建物を取り壊せとは言い難い。)、建物部分取り壊しの結果、分割取得した共有土地部分を譲渡した共有者が建物の共有持分を喪失したという要件を満たせば足りると考えるものである。結局、上記のような一連の手続の結果、残存家屋につき、他の共有者がこれを単独取得していれば(言い換えると、残存家屋につき、土地を譲渡した共有者の権利が存在しなければ)措置法35条1項の要件を満たすと解すべきである。

    なお、被控訴人は、措置法35条1項は、例外的に認められる優遇措置であることからすれば、租税負担公平の原則から不公平の拡大を防止するため、解釈の狭義性、厳格性が要請されるというべきであり、当該規定を受けた措置法通達35-2及び同35-5で準用する同31の3-10は厳格に適用されるべきであり、疑義を差しはさむことのないような形式的基準をもって運用されるべきものであると主張する。しかしながら、土地とその土地上にある一棟の建物をそれぞれ共有したうえで、生計を異にして建物内で生活している本件の控訴人と己のような例を想定すると、土地を分割し、併せて建物も実質的に分割すべく、自らの居住部分のみを取り壊してその敷地を譲渡した者について、残存家屋部分が建物として残るとの理由だけで措置法35条1項の適用の余地を一切否定するのは、措置法35条1項とこれを受けた措置法通達35-2の趣旨に照らしても相当とはいえないと考えるものである。そして、上記のような限定的な要件のもとで、措置法35条1項の適用の余地を認めることは、措置法35条1項とこれを受けた措置法通達35-2の趣旨に沿うだけでなく、法35条1項の解釈の狭義性、厳格性に反するとはいえないというべきである。

    (2)そこで、本件について検討すると、事実によれば、控訴人と己は、本件遺産分割により、旧199番1の土地と本件建物について、それぞれの共有持分を有していたところ、前記認定の本件建物取毀しに関する合意〔本件建物を二つに分割し、控訴人が取得する本件建物の分割部分(控訴人居住部分)を取り壊すとともに、それぞれの居住部分に対応して旧199番1の土地を二筆に分筆し、控訴人が取得する本件土地についてはその上に存する本件建物の分割部分を取り壊して、これを更地にしたうえで第三者に売却し、控訴人がその売却代金を取得して転居することとし、一方で己は、旧199番1の残りの土地と同地上の残存家屋を取得する旨の合意〕をしたうえで、控訴人が自らが取得した本件土地上に存する本件建物部分を取り壊してその敷地に相当する本件土地を第三者に譲渡し、一方で、己が単独で残存家屋について所有権を取得したというのであり、本件合意の趣旨としては、本件建物の一部取り毀しに際しては、その部分に対する己の共有持分の放棄がなされることの見合いで、残存家屋部分に対する控訴人の共有持分の放棄がなされることが合意されていたものとみるべきであるから、控訴人は、上記一連の手続の結果、本件建物の共有持分を喪失したことが明らかである(なお、己に対し、平成16年7月7日付けで、同月3日贈与を原因とする控訴人の本件建物の共有持分4分の1の所有権移転登記が経由されているが、これは便宜上なされた措置で、実体とは符合しないことは前記認定のとおりである。実体的には、控訴人は、本件建物取毀しに関する合意により、本件建物の一部取り毀しの際に残存家屋に対する共有持分を放棄したものとみるべきである。)。そうすると、以上のような経緯に照らす限り、控訴人による本件土地の第三者への譲渡は、自らの所有する土地上に存する自らが所有し居住する建物を取り壊したうえで、その敷地部分を第三者に譲渡した場合と同視することができるというべきであり、措置法35条1項の要件に該当すると解するのが相当である。

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